「Google翻訳」の機械翻訳と有識者・人間の翻訳では
翻訳語にコンテンツとしてどの部分で優劣が付くのでしょうか?

Google翻訳などの機械翻訳の品質が向上しつつある今、あえて人間による有償の翻訳を選ぶ理由は何でしょうか?
「Googleで翻訳して変なところだけ手直ししといてよ」と言われたときに効果的な反論ができるでしょうか?
ここでは、機械翻訳の長所やメリットを認めた上で、どのようなときにこそ人間のプロを使うべきなのかを線引きをはっきりさせながら説明をします。

機械翻訳の長所と短所

Google翻訳などの機械翻訳は大変便利なものであり、インターネット活用において欠かせないものとなっています。しかし、ビジネスで利用するときに全面的に頼るには、まだ課題が残ります。しかし人間のプロの翻訳者による翻訳と比べると、値段も速度も圧倒的なのも確かです。得意な部分と不得意な部分をよく理解して使い分けるべきでしょう。

機械翻訳が得意な部分は下記になります。

1. 元の文章が複雑ではなく、論理構成がきちんとしており、口語や略語や専門用語をなるだけ含まない。
2. 翻訳量が少ない。
3. 英語。
4. 翻訳するべきものはテキストだけでよく、最終提出物のフォーマットは考えなくてよい。
5. セキュリティや機密性についてはシビアにならなくてもよい。

それぞれ解説しましょう。

1はもともとの文章の難しさに関するものです。実際にGoogle翻訳をよく使っている人は痛感する部分だと思います。意味が通じる程度には翻訳してくれるのですが、自然な文章とはいいにくいです。
日英翻訳でよくあるのは、所有格の取り扱いです。

At some point, our kids will be out in the world and their self-esteem will be pivotal to their success.

Google翻訳による日本語訳
いつの日か、私たちの子供たちは世界に出て行き、彼らの自尊心は彼らの成功の要となります。

意味は通じます。しかし、より自然な訳としては下記のようにするべきでしょう。この精度はまだ人間にしかできません。

いつか子供たちが世界に旅立ったとき、自尊心は成功の大きな要となるでしょう。

他にも、複数形や、anyやnoなどの言い回し、使役動詞や受動態の使い方などで、同じような問題が発生します。

2は意外ですが事実です。
Google翻訳は一文から一文節程度の文章を翻訳するようにできていますので、数ページ分の翻訳となると、翻訳はしてくれますが、その後にコピーしてつなぎ合わせるなどの作業が必要になります。ましてやマニュアルなどのまとまったドキュメントや書籍と言ったレベルの分量となると、センテンスごとに翻訳してコピーして内容を整えていくのはかなりの手間になります。
手間だけならいいのですが、訳語の統一や文体の統一などの問題も発生します。翻訳の問題というよりも文章そのものの問題として長文には長文の問題があり、それを配慮してくれるのは今の所は人間だけです。

3は多言語対応の問題です。
Googleがアメリカ企業であることや、人工翻訳やAIがアメリカおよび英語圏が最も発達しているということもあり、この分野で扱いやすいのはなんといっても英語です。そのため、英語とその他の言語との翻訳は機械翻訳の精度もかなり上がっています。しかし、日本語と中国語など英語ではない言語同士の翻訳や、機械学習のサンプル数の少ない言語の翻訳には、まだ品質の粗さが目立ちます。

4はビジネスで翻訳を行う際の現場の最大の問題ではないでしょうか。
翻訳するべき文章をテキストファイルでもらえて、提出もテキストファイルでよく、図や表が含まれていないのならば、こんなにありがたい話はありません。そして、Google翻訳はテキストでの入出力しか基本的には受け付けていません。
しかしこんなありがたい案件はまずありません。入稿はパワーポイントだったりPDFだったりHTMLやクラウドだったり様々ですし、それを読み取ることのできるアプリケーションを持っているのか、バージョンは大丈夫なのかという、何十年も変わらない問題を未だに経験することになります。出稿も同じ問題がつきまといます。これに加えて、フォント、改行、書式などの問題も頭が痛いですし、禁則処理や字下げなどのその言語固有の表記慣習に属する問題もあります。

5も問題にする所では大問題となるでしょう。
実際問題としてGoogleがGoogle翻訳に入れられた文章を剽窃しているということはないでしょうけれども、翻訳精度向上のための学習素材の一つにしていることは確かですし、問題がないことを証明しろと言われると言葉に詰まります。
セキュリティや機密というのは、実質的な強度の問題もありますが、一定の精度のセキュリティ対策や機密対策を行ったという証跡の問題でもあります。Google翻訳は何の証跡も与えてくれません。

対応専門分野の広さとネイティブによる厳格なクロスチェック

人間のプロフェッショナルによる翻訳を依頼するときに期待するのは、なんといってもこれになります。翻訳が自然であり、内容が正確で、読みやすいことです。
そのため、翻訳会社を選ぶ時は、専門分野をきちんと持っているかどうかが大切です。単に英語がうまいだけでは、自然な翻訳、正確な内容、読みやすさが担保されません。これは専門用語やその分野に関する知識もありますし、上記の4でいうところのフォーマットの問題もあります。

マニュアル翻訳、ウェブサイト翻訳、DTPサービス、IT系ローカライズ、技術翻訳、産業翻訳、論文翻訳、学術翻訳、契約書翻訳、法律翻訳、金融翻訳、財務翻訳、マーケティング・PR翻訳、特許翻訳、知財翻訳、医薬翻訳、医療翻訳、環境翻訳、食品翻訳、観光・インバウンド翻訳、化粧品・ファッション翻訳、海外ビジネス翻訳、不動産翻訳、映画翻訳、音声翻訳、証明書翻訳、公文書翻訳。

ビジネスで翻訳のニーズの多い分野は、ざっとこれだけあります。それぞれの分野に、独特の用語、業界知識、各種文章のフォーマットや、その業界ではよく使うけど他業界では使わないアプリケーションや辞書やWebサービスがあることに容易に見当がつくと思います。

これら専門分野ごとの知識があって初めて、翻訳の自然さや内容の正確さなどの言語としての翻訳の上手さが生きてきます。
そしてそれは、日本語から英語への翻訳ならば英語のネイティブ話者の、英語から日本語への翻訳ならば日本語のネイティブ話者によるチェックが必要になります。そこまでやって初めて、金を払ってまで依頼することの価値があるといえます。

大量翻訳への割引の有無

機械翻訳は翻訳対象の分量が増えれば増えるほど難しくなっていきますが、人間による翻訳は分量が増えれば増えるほど正確になり、精度も高くなり、価格も安くなります。
なぜなら、訳語を統一したり、文章の癖や独特な言い回しや専門用語の知識が生きてきたり、それを翻訳者グループで共有できるからです。人間は集団になると知識と経験が増していきますが、機械にはそういった学習能力はありません。そのため、人間による翻訳と機械による翻訳は、どこかでトータルコストが逆転するポイントがあります。それをはっきりと何文字以上からと言えるわけではないですが、目に見えないコストまできちんと積み上げると、これは出てくるのです。
人間による翻訳をする会社のうちまともな会社はこのことを分かっているので、大量翻訳には割引をします。機械翻訳を相手に値引き競争をするなどという愚を冒さずに、機械翻訳とコストの逆転する微妙なラインを狙って価格競争を仕掛けているのです。有償の翻訳を依頼するのなら、それぐらい物の分かった、そして経験のある所が良いですね。

取り扱い可能ファイル形式の幅広さ

なるだけ取り扱える文章形式が多く、使い方に慣れている所が良いです。
わたしたちは学校という、ルールや作法やフォーマットの定まっているところで外国語を勉強したものですから、翻訳というのをつい文章だけの問題として考えてしまいます。文章を翻訳するというのは、翻訳文章を作るという作業の一部分に過ぎず、しかも思っているよりも小さな一部分でしかないのです。

セキュリティ対策と機密対策の充実

セキュリティや機密対策は、「頑張っています」「気をつけています」というようなことではなく、具体的にどのようなルールを設け、それを守っていることをどうやって証明できるかということです。
会社としてきちんとセキュリティや機密取り扱いにルールを設け、それに基づいて情報管理をしているところを選びましょう。